その日。北条軍は武田軍に敗れ、敗走した。

 武田軍の総大将は山県昌景。武田軍中にあって、信玄に次ぐ名声を誇る武略家である。その名将が率いる武田軍に対し、北条早雲みずからが迎撃に当たり、そして敗北した。

 あまりに数が、そして兵の質が違いすぎたのだ。
 戦場を縦横無尽に駆け回る騎馬隊に、陰陽部隊が効果的な一撃を加えるのは困難を極める。
 それまでの侵攻では、武田軍の騎馬隊の数がそう多くなかったために、何とか対応できていた。だが武田家は今回の戦で、これまでの三倍近い騎馬隊を繰り出してきたのだ。
 上杉家との和睦により、戦力の全てを北条家との戦に振り分けることができたからだった。全てを食い止めることなどできようはずもない。
 その結果がこの敗走だった。

「はあ、はあっ!」
 茂みの中を、一人の女が走っていた。年の頃は17か18か。紫色の髪をショートに切り揃えている。軽装の白い服をまとっており、幾枚かの符を左手に携えている。
 手に持つ札と服装は、彼女が陰陽師であることを示していた。
 彼女の名は南条蘭。陰陽の名門・南条家の現当主であった。

 蘭は、逃げていた。
 落ち武者狩りはこれまでの武田軍との戦ではほとんど行われていない。しかし今回は違った。
 北条軍はすでに拠点を放棄しており、合戦の決着はとっくについている。にも関わらず軽く四桁を上回る武田の兵達が辺りを捜索しているのだ。
「見つけた! こっちだっ!」
 蘭の後方から、またそんな声が聞こえてきた。
「く……このおっ!」
 蘭はひとり駆ける。周囲には既に部下の姿はない。
 途中ではぐれたか、または死んだ。蘭を守って囮となったものもいた。
 部下が自分を守って死んでいく。戦に出るのはこれで数度目になるが、蘭は部下の死にいまだ慣れていなかった。鋼鉄の心を持つもの以外には、絶対に慣れることのできない苦しみだった。
「う……」
『怖ぇか? 怖ぇよなあ? ははっ、だったら』
 部下への申し訳なさと死への恐怖で震える蘭の頭に、声が響いた。
 それは誘惑の声だった。
 すべてを帳消しにするほどの力を与えてくれる、甘い誘惑。
 その真実を蘭は既に知っていた。
 声に耳を貸してはならない。力を使ってはならない。
 なぜならその言葉の主は人類の敵でしかなく、誘惑の結果には、破滅だけしか待っていないのだ。
「黙って……よ……っ!」
 蘭は泣き出したくなるのを必死で抑え、ただ走った。
 首から下げた包みをぎゅっと握り締め、ひたすらに駆けた。
 早雲にまた会いたい。会って抱きしめてもらいたい。
 そんな思いを胸に、茂みを駆ける蘭。
 その前に、一人の男が立ちふさがった。
「おおっ! やっと発見! 美少女ゲットだ、がははははーーーっ!」
 戦場で大きく口を広げ馬鹿笑いをする男は、武田軍の中で二人しかおらず、しかも異人となればたった一人しかいない。
 落ち武者狩りの指揮官、ランスであった。

 実際のところ、この執拗なまでの落ち武者狩りは、すべてランスの命令のもとに行われていた。それも、蘭の隊を集中的に狙ったものだ。
 蘭の姿を遠目で見ていたランスが、あらかじめ逃走経路の森に部隊を展開させていたのだ。

 そんな事情を蘭が知る由もなかった。だらしなく鼻の下を伸ばしているランスを見ると、これまでの追っ手に対するのと同様、召還札を取り出す。
「出でよ!」
 赤い巨体が、札から出でて実体化した。
『つれねぇなぁ? 俺を呼べよ』
 突如、蘭の頭に声が響いた。
「――っ! い、いって、ゲンゾウさん! あいつ、やっつけちゃってっ!」
 響いた声を懸命の思いで振り切り、命令する蘭。
 早雲の姿と約束を思い出すことで、心を奮い立たせた。
「了解」
 ゲンゾウさんと呼ばれた赤鬼は、蘭の命令に軽くうなずいて答えると、大きく右こぶしを引いた。そしてランスに向かって突撃し、猛スピードで拳を突き出した。
 常人では反応も難しいと思われる動きだ。が、その男は常人ではなかった。
「ひらーりっ」
 妙な擬音を口にしつつ、ランスはゲンゾウの攻撃をあっさりとかわした。そしてカオスを無造作に振るう。紫色の刀身がぶん、とうなりをあげ、ゲンゾウに襲い掛かった。
 赤いものが宙を舞った。
「!」
 それはゲンゾウの腕だった。ランスのただ一振りで、ゲンゾウの突き出した腕が根元から切り取られていた。
「っ!? さがって!」
「――」
 蘭の声に、ゲンゾウは無言で従い、召還札に消えた。どことなく悔しそうな様子が伺えた。
「がはははは。鬼だかなんだか知らんが、もう慣れたぞ」
 馬鹿笑いをするランスとは対照的に、蘭の表情は真剣そのものだった。

 今までの追っ手とは、桁が違う。
 ゲンゾウは、南条家に代々伝わる赤鬼だ。その辺の武士の一人や二人は軽くあしらえる力を持っている。そのゲンゾウを子供扱いする男が、目の間にいた。そして蘭はゲンゾウ以上に頼りになるしもべを持っていない。
「さて。ではお持ち帰りだーっ!」
 カオスを構え、ランスは蘭にずんずんと近寄ってくる。
 蘭はぎゅっと子袋を握り締め、立ち向かう勇気を得ようとした。
「(……早雲!)」

 心の中で蘭が叫んだ瞬間。灰色の閃光が、蘭の背中越しに突き抜けた。
「ごわ!?」
 間一髪、顔をずらしたランスの頬をかすめ、閃光は背後の木に激突する。ランスが振り向いて見ると、木に刺さったその閃光の実体は、紙だった。
 紙に込められた念が刃となって、ランスを襲ったのだ。
「なっ!? おわっ!」
 刃は一射では終わらなかった。
 目にも留まらぬ速度で、正確な五芒星を描き、五つの刃がランスを襲う。
 三つをかわし、一つを鎧に当て逸らしたものの、最後の一つをかわしきれない。ぐさり、とランスの肌着に紙が突き刺さった。
「いでー! く、誰だこらーーー!」
 たまらず蘭との距離を取るランス。
 腹を抑えつつ、油断なく辺りを見回し飛び道具を警戒する。
「蘭!」
 と、蘭の背後から声が聞こえてきた。聞こえてくるはずのない声だった。
「早雲!? なんでっ!?」
 蘭の後方数十メートル。そこに、陰陽師の服を着た男がいた。
 ものすごい表情でランスを睨んでいる。
 彼の名は北条早雲。陰陽機関の主であり、初代早雲に最も近づいたと噂される、当代最強の陰陽師であった。
 
 早雲は僅かな魔の気配を頼りに蘭の位置を把握し、ひとり救出に来ていた。部下はいない。早雲はひとりだった。式神を利用した高速の移動についてこれるものがいなかったからだ。
 陰陽機関を預かる国主としては軽率な行動であるが、それでも早雲は放っておけなかった。自分の失態のせいで危機にある愛する人を放っておくことなど、早雲には決して不可能だった。

「蘭、下がれっ!」
 早雲は蘭に駆け寄りながら、五枚の札を取り出して念を込めた。
 とたんに、それぞれの札から女性型の式神がぬっと沸きでた。
「はああっ!」
 早雲は式神のうち一体を蘭と早雲の護衛に残し、四体をランスを取り囲むようにして散会させる。
「なんだ、こいつら?」
 ランスが疑問の言葉を口に出しつつ、近寄る式神を無造作にカオスで払う。女性型の武士は刃を軽く受け流し、ランスに剣を突き出した。正確に心臓をえぐる軌道だ。
「んな!?」
 ランスが、鎧に刃を当てることでその突きを避けた。金属音が響く。
 音をきっかけに早雲はぐっと手の平を締め、式神達に合図を送った。ばっと印を組み、ランスを指差した。
 四体の女性型の式神が、いっせいに刀をすらりと抜き放ち、ランスに襲い掛かった。
「なーーーー!?」
 式神の攻撃をランスは目を剥いてよけた。
 どんどん後退していくことで、連携攻撃をなんとかいなす。
「ほ、わ、とーーーー!」
 反撃は、できない。ランスは防戦一方だった。
 早雲の式神は、その一体一体がさきほどの赤鬼と同等以上の力を持っていた。それらが正確なコンビネーションを取りつつ襲い掛かってくるのだからたまらない。
「(だーー! まずいっ)」
 ランスの叫びは声にならない。焦りだけが顔に出る。
「――」
 回りこんだ式神が、ランスの背後から刀を振り下ろそうとする。
 その瞬間、どん、と式神が勢いよく一本の矢に貫かれた。

「無事ですかな」
 矢の放たれた場所から、渋く低い声がした。
「ん? 透琳かっ?」
 現れたのは真田透琳であった。
 弓を構えたまま、ランスの周囲の式神を牽制している。
「む」
 透琳はその目で早雲を視認すると眉をぴくりと動かした。
「なんでここに。軍はどーした?」
「総大将を放り出した方が、仰る言葉ですか。それにしても」
 透琳は驚いていた。
 ランスの相手はとんでもない大物だ。
 敵の総大将、北条早雲その人がなぜここにいるのか。
 とっくの昔に撤退したものと思っていたが。
「まさかこのような事態になっていようとは。悪運の権化のような方ですな、あなたは」
「んなこたーどうでもいい。とりあえず、さっさとかわいこちゃんをゲットだ、行くぞ!」
「承知」
 透琳はランスに返事をすると、新たな矢をその手に取った。
 そして式神の一体に狙いを定め、すぐに矢を放つ。
「がはははは! 形勢逆転だ、とーーーー!」
 透琳の弓を合図として、ランスもまた反撃に出た。
 矢に怯んだ式神に、無造作にとどめを刺していく。
「っ!」
 今度は早雲の表情に、焦りの色が浮かんでいた。
 ランスを囲う式神が一体、また一体と、透琳の矢とカオスの一撃により倒されていく。傍目には、早雲の敗北はもはや時間の問題と思えた。

 蘭は震えていた。
『なあ、わかってるよな?』
 指摘されるまでもなく、蘭は理解していた。
 早雲がこのままでは、負けてしまうということ。
 そしてこの状況を打破する切り札は、蘭だけが持っていることを。
「――」
 恋人への想いが恐怖心を振り払った。振り払ってしまった。
 自分のせいで危機に陥っている早雲のために、できることがあるのなら。
「……う……あ……」
 内から響く強き力の導きのままに、蘭は大きく手を広げた。
 心のままに、愛する人の名を叫んだ。
「早雲ーーーーーっ!」
「蘭!?」
 早雲が振り向いた。紅色の閃光が蘭の服を照らしていた。
 外側からではない。蘭の肌から光が発せられているのだ。
 太陽を思わせる紅色の輝きは、しかし早雲の目には、とてつもなく禍々しいものに映っていた。
『ハハッ! いいねえ、泣かせるねえ!』
 その認識は正しかった。かの光は人間の敵の光。
 世界のシステムにより定められた、人類を蹂躙する光なのだ。
「やめろ、やめるんだ! 蘭ーーーっっ!!」
 早雲は式神の制御を忘れて叫んだ。蘭の周囲に炎のように空気が渦巻いていた。大気の震えが早雲の声を遮断していた。
 ランスにとっては絶好のチャンスだった。だが動けない。空気が異常だった。
 何かとてつもないものが世に出でようとしていた。
「おお! なんだ!?」
『やばいっ! にげろ相棒!』
「なに!?」
 カオスの警告に、ランスは目を剥いて蘭を見つめた。
 蘭の周囲の空気に赤く光る霧のようなもやが漂っていた。足元に生える草がちりちりと焼け焦げていた。蘭の胸元から広がる禍々しい気配はいまや物理的な圧迫感となって、周囲の大気を震わせていた。
「む」
 透琳が矢を放とうとして止める。早雲の式神がいまだ蘭のそばにあって射線を阻んでいた。
「いけえーーーー! 朱――」
 蘭が終わりの言葉を叫ぼうとした、その瞬間。
 ぴいん、と金具を弾くような音がして、声が途切れた。
 蘭はゆっくりと前のめりに倒れる。とさり、と地面が彼女を受け止めた。
 その首筋には、長く細い一本の針が刺さっている。
「……蘭?」
 呆然とする早雲をあざ笑うかのように、その男はゆらりと姿を現す。
「やれやれ、間に合ったようですね〜」
 戦場には場違いのゆったりとした着物を着た男が、その場にいた。高坂義風。風魔忍軍の棟梁にして、武田四将軍の一人である。
「うおっ! なんてことしやがる!」
 ランスは蘭の様子を見ると、その男に向かって抗議の声を上げた。
「まあまあ。私、前に一度あれを見てましてね。すごいですよ。二度目はごめんですね」
「可愛い子だったのに、殺してどうする!」
 場違いな抗議を、義風は笑っていなした。
「殺っちゃあいませんよ? 面倒ごとになるかもですから〜」
「なに? むう、ならよし」
「!」
 茫然自失としていた早雲が、義風の言葉で自我を取り戻した。

 どくん、と、熱い血潮が早雲の全身を駆け巡った。
 まだ生きている。蘭はまだ生きているのだ。
 それもあの忌まわしいものを発動させぬままに。
 早雲は思考する。この絶望的な状況を切り抜けるために。
 最強の陰陽師の頭脳が、再び回転し始めていた。
 武田四将軍が二人、四将軍に匹敵する戦士が一人。この三人を相手どって早雲が勝つことは不可能だろう。一人を道連れにできれば御の字だ。
 逃げることもまた不可能。忍の達人である義風から、しかも気を失った蘭を抱えて、早雲が逃げられるわけがない。
「(ならば――)」
 早雲は決断した。迷いはなかった。

 早雲は決断と同時に五枚の符を取り出し、気合の言葉とともに全てを義風に投げつけた。
「破!」
「む」
 五枚のうち三枚が、義風の目の前で大きく膨らむ。一秒に満たぬ時間のうちに、符は女性型の武士を象った。それぞれの式神がすぐに義風に攻撃を繰り出す。
「よっ」
 が、義風は三方向からの攻撃をあっさりと避けた。後方に大きく跳躍して戦闘体勢を取る。
 奇襲を退けられたものの、早雲の目に失望の色はなかった。既に目的の第一段階――蘭から敵を遠ざけること――は、達せられていたからだ。

 早雲が投げた二枚の符は、三枚と同じく人型を取っていた。
 ただ、武器を持たぬ素手の状態だ。
 二体の式神は蘭に駆け寄る。体を持ち上げ、早雲達に背を向けそのまま一直線に走る。常人の限界を超えた速度で遠ざかっていく。みるみるうちに蘭と式神の姿が小さくなっていった。
「ちょ、待てい!」
 慌てたのはランスである。ようやく捕まえたと思った美女が、よくわからんものに横取りされようとしていた。
 わずかな理性が即座に吹っ飛び、ランスは衝動的に叫んでいた。
「それは俺様のだーーっ! って!?」
 蘭を追おうとしたランスに、早雲自身が斬りかかっていた。
 鋭く早く理に適った一撃が、ランスの胴体を狙って横薙ぎに繰り出される。
「はあああああっ!」
 ランスはなんとか紙一重で刃を避けた。カオスを早雲に向けつつ驚きの声を発する。
「んな! お前武士じゃないだろーっ!?」
「陰陽師が刀を使ってはならんと、誰が決めたっ!」
 早雲は更に踏み込んでランスに斬りかかる。
 その最中も精神の集中は、式神に向けていた。

 ランスとの打合の中で式神に意識を集中させ続けることは、早雲にとって明らかに自殺行為だ。
 ランスが冷静さを失っているおかげで、今のところは互角に戦えている。
 しかし本来であれば、全神経を集中させてすらまともな勝負は難しい相手なのだ。
 さらにランスの後方には、武田一の弓手と名高い真田透琳が控えている。ひとたび距離を取れば間違いなく、必殺の矢が飛んでくることだろう。
 そのうえに、後方には風魔忍軍棟梁の義風がいる。式神の半分以上を割いて抑えてはいるが、義風の前では長くは持つまい。

 早雲にとって、どう転んでも勝ち目のない戦いだった。
 だが他に道はない。
 少なくとも蘭を味方に送り届けるまでは、絶対に式神を維持し続けなければならない。
 あと少し、あと少しだけ。時間を稼ぐ。最愛の人を守るために。
「うおおおっ!」
「っ!」
 もはや後のない気迫の刀が、カオスに激突した。
 ランスは間一髪で早雲の刀を受け止めると、不満げに叫んだ。
「でーい、しつこい! さっさと死ね!」
 そしてばっと後方に飛びのく。必殺の一撃を繰り出すためだった。
「――!」
 と、希望の光が、早雲の意識に芽生えた。
 ランスが下がったからではない。それはむしろ絶望の合図だ。
 早雲は式神の目を通して、ある映像を見ていた。

「がっ!?」
 映像を切り裂くようにして、早雲の左肩に激痛が走る。
「おっ!?」
 今正に必殺の技を繰り出そうとしていたランスが、動きを止めて驚きの声を発した。早雲の左肩には、一本の矢が深く突き刺さっていた。
 肩に矢を受けた衝撃で、早雲はうずくまる。血がにじむ。左腕が上がらない。激痛に集中が途切れる。
 その様子を見て、ランスは不満に顔をゆがめた。
 振り返って透琳に抗議する。
「こら、じゃまするな。せっかく俺様のかっこいい一撃で決着がつくとこだったのに」
「無茶を言いまするな。……さて」
 激痛の中、早雲は映像を思い返していた。ランスの軽口に気を取られている暇はなかった。
 集中が途切れる寸前に送られてきた情景。
 それは確かに、気絶した蘭が、彼女の一族に迎えられる姿だった。
「北条早雲殿とお見受けする。もはや勝負は付いたはず。投降をお勧めします」
「おい。俺様抜きで話を進めるな」
「いかがなさるか」
 無意味にえらそうなランスを意図的に無視し、透琳は弓を早雲に向けた。鋭い目つきで油断なく動向を見る。
「――」
 静まり返っていた茂みに、ざくざくという音が響く。
 透琳と義風の率いる、遅れてやってきた兵達の足音だ。
 その音を耳にし、早雲は矢を抜くのを止めた。
 ますます包囲を厚くする武田軍から逃げ延びることは、もはや不可能だ。透琳に言われるまでもなく、早雲はその事実をはっきりと認識していた。
「……」
 自害の意思も自棄の意思も、早雲にはなかった。
 陰陽師を率いるものとしての責任があったから。
 そしてなによりも、生きてさえいれば、きっとまた蘭に会えるはずだったから。
「……わかった」
 早雲は透琳の言葉にゆっくりと頷くと、天を仰いで彼女の無事を祈った。


 
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